ヤングケアラーとは①

カルト・貧困・ヤングケアラーの過去を持つ、多問題サバイバー天馬です。

ヤングケアラーって言葉をご存じでしょうか?

最近、ちょいちょいTVやyou tubeでコマーシャルが流れてます。

元Jリーガーの武田修宏さんや山崎育三郎さん、キンタローさん等など、有名人が続々と「自分はヤングケアラーだった」と声を上げるようになりマスコミにも取り上げられるようになってきました。

社会的に認識されるのは喜ばしいことだけど、必要な支援の手が届いているのかな・・・。

「ヤングケアラー」とは

「ヤングケアラー」とは、読んで字のごとく若いのにケアをしている人。

こども家庭庁のHPでは「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」と定義。

色々調べてみたけど、他の役所や団体の定義付けもほぼ同じ。
「本来大人が・・・」とか「18歳未満」限定にしている定義もありました。
「18歳未満」って区切るなよ、ってちょっとお腹立ち。
だってさー、天馬の姉ちゃん達みたいに「ヤングケアラー」から「ケアラー」に移行したまま人生の半分以上「介護」に明け暮れてる人もいるんやで。
成人したら、ケアラーを卒業できるんかいっ!と思ったので、こども家庭庁の定義にしてみました。
「大人が行うべきこと」については、後述します。

さて、このページにいらっしゃった貴方。いくつ当てはまる?

 子ども・若者育成支援推進法は、「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」として、ヤングケアラーを、国・地方公共団体等が各種支援に努めるべき対象としています。

ヤングケアラーについての説明画像

出展:こども家庭庁(https://www.cfa.go.jp/policies/young-carer/ 参照 2024-11-16)          

このイラスト10項目のうち、天馬の子供時代は6個該当しました~!

というわけで、元だけど「ヤングケアラー」と名乗りますよ~。

◆こんなところにヤングケアラー?

天馬は高齢者福祉の仕事を四半世紀ほどしておりました。

窓口に相談にくるのは、要介護高齢者の配偶者かその子ども世代のオバチャン・オジチャンがほとんどです。

「相談できる人」は「SOSを出せる」人なので、「今困っていることを解決したいと思っている人」でもあります。

だけど、介護が必要な状況なのに相談にこない人もけっこういて。

  • 一人暮らしでボケちゃった人。
  • 経済的に困窮してて、介護にお金をかけられない人。
  • 介護は家族がするもの!と思い込んじゃってる人。

まあ、皆さん事情はそれぞれですが。

中でも一番見つけにくいのは、家族だけで介護してるんだけど、限界を超えて無理ゲーになってるのに本人も家族も「介護は家族だけでやるもの」と頑なに思っちゃってる人達。

こういうケースは、発見できても介入を拒むことが多いので、介護離職せざるを得なくなったり一家崩壊(家族の誰かだけに負荷がかかってる事多し!)したり、はたまた虐待が発生することが多いです。

発見はかなりの難易度。

ここまでは、要介護高齢者のアウトリーチの話。

で、ヤングケアラー。

高齢者介護ではまだ目立たない存在かもしれません。

天馬が初めてヤングケアラーに遭遇したのは、三世代同居の高齢者虐待案件でした。

何年前かなぁ。
5・6年前だったと思うけど。
要介護のじいちゃん、ボケかけのばあちゃんの世帯に、失業した息子家族が転がりこんだ!
嫁さんは精神的な持病があり、家事や介護を高校生のお孫ちゃんが担ってました。
お孫ちゃん、いいこなんだよね。
下の子の面倒も見ちゃってさ。
前世は天使かよ!ってぐらい。
遊びたいさかりだろうに。

何年前かなぁ。

5・6年前だったと思うけど。

要介護のじいちゃん、ボケかけのばあちゃんの世帯に、失業した息子家族が転がりこんだ!

嫁さんは精神的な持病があり、家事や介護を高校生のお孫ちゃんが担ってました。

お孫ちゃん、いいこなんだよね。

下の子の面倒も見ちゃってさ。

前世は天使かよ!ってぐらい。

遊びたいさかりだろうに。

この案件に関わりだした頃から、行政の会議や事例検討会議でもポツポツと未成年の介護者がいるケースがちらほらと。

そうなると、俄然気になっちゃうわけで。

ほうほう、平成の世ではこの子たちを「ヤングケアラー」というわけですな。

すると、天馬は「元ヤングケアラー」になるわけで。

母の介護と家事に追われた日々がフラッシュバックして、めまいが・・・。

いくら大事な家族だとしてもさ、未成年に家事育児介護全部乗せって酷くない?

もちろん「身の回りのことと家事全般ができる」大人になるためのトレーニングは大切だけど、家事や介護・他の兄弟の世話をして自分のための学業や時間を作れないような環境に常に置かれるって、どうなのよ?と。

でも、悲しいかな、冒頭のようにCMが流れたり「私はヤングケアラーでした(です)」と声をあげる方達が出ているのが現実。

ヤングケアラーが、社会的課題であると認識されつつあることを喜んでいいのか悲しむべきなのか。

元ヤングケアラーとしては、とても複雑。

ヤングケアラーが発生するまで

先ほどの「三世代同居・お孫ちゃんがヤングケアラー」ケースから、ヤングケアラーが発生する要因を考えてみます。

◆病気・障害

まあ、ケアラーというぐらいだから、当然のごとく「病気・障害」は直接の原因になるわな。

当初、「高齢者の虐待案件かも」という第一報で駆け付けた天馬達ジジババ担当。
ジジババに介護が必要か、虐待されてないか等々をアセスメント。
多問題ケースとはいえ、ジジババ担当は高齢者中心に課題を抽出し解決方法を考える。
高齢者には介護保険があるし、行政の横出しサービスも多い。
実際、高齢者班が出動して介護環境を調整すれば、あとはケアマネさんが頑張ってくれて、本人達がケアプランを受け入れたらサービスが回り出すことがほとんど。

でも、ヤングケアラーという視点であれば、このケースの「病気・障害」は、子世代である「お嫁さんの病気」。

祖父母世帯に転がり込む前から、お嫁さんには精神的な病気があった。

よって、長子であるお孫ちゃんは幼いころから普通に家事や下の子の世話をしてきたそうな。

「お兄ちゃん・お姉ちゃんだから」「下の子の面倒をみるもの」という感じかな。

「上の子」の悲劇というか、宿命というか・・・。

※高齢者の介護現場でも「長女・長男の妻(長男ではないところがミソ。これはこれで問題だけど)は、辛いよね〜」と思うケースを沢山見てきました。

もちろん、独立した大人になるために男女関係なく自分の身の回りのことや家事をトレーニングとして教える、やってみてもらう、これは教育上必要なことだと思います。

が、主婦・主夫の方だと理解頂けると思いますが、主体的に家事をこなすのって大人でも大変じゃないですか?

そんな大変なことを、年端のいかない子供が、手伝いでもトレーニングでもなく「家事・育児の全般を担う」というのはどうでしょうか?

お孫ちゃんだってまだ子供。

勉強だってしないといかんし、部活や友達と関わる時間も大切なお年頃なはず。

でも、鬱々としたお母さんを心配しながら、下の子達の面倒をみて、ご飯を作り、掃除をする。

親思い、家族想いの子供であればあるほど、一人で問題を抱え込むことになっているのではないかと。

だけど、家族の誰かに「病気」や「障害」があるということだけで「ヤングケアラー」が発生するのではない、と天馬は思います。

◆失業や貧困

「失われた30年」と言われる今の日本。

このケースでは、「息子さんの失業」という課題がありました。

妻は病気で働けない。自分も失業して、再就職が決まらない。

支援者でも「父ちゃん、選り好みしてないで働こうよ!」と簡単には言えない景気の悪さ。

この息子さんはロスジェネ世代。
社会人生活をスタートさせた時から非正規雇用まっしぐらな方達が多い世代でもあります。
自助努力だけでは乗り越えにくい世の中で、再就職活動もままならず自分が世の中から否定されているのかと思いたくなる辛さ。
自分一人食わせるのに精一杯なのに、「家族なんて持てない」と独身の人も多い世代。

このケースは、祖父母世帯に転がり込むことで一時的に経済状況は辛うじてクリアしたけどさ、根本的解決ではないよね。

祖父母の年金だって、永遠に続くわけじゃなし。あまつさえ、祖父母は要介護ですし、お寿司。

同一世帯に働けるはずの大人がいると、介護保険では「家事援助サービス」のヘルパーさんが入れなくなるので、困っちゃいましたよ、まじで。

※似たようなケースで「8050」というニートの50代が親の年金で暮らしている世帯は結構見かける。

「失われた30年」なんて一口で言ってほしくないけど、不景気がこびりついた今の日本。

一生懸命働いても、物価は上がる、賃金は上がらない。

天馬の経験値だけで語ることではないとは思うが、令和の日本で「今日食べるご飯がない」人は増えているのは確実。

今の日本で、命を維持するのが難しい「絶対的貧困」状態を目にすることはほぼない。
それはどこか遠い国の話だと思ってきた。
(いや、本当はあるのかもしれない。でも今秋の「令和の米騒動」の時だって「パンや麺類」等代替えの食べ物は買えた。むっちゃ値上がりしているけど。)
でも、日本中の大多数より貧しい状態(可処分所得が中央値の半分以下)とされる「相対的貧困」は、今や6人に1人。
※中でも、母子家庭の割合が高いそうな。土日は給食がないから昼ごはん無しなんて話、ザラに聞く。
仕事柄、フードバンクや子ども食堂のスタッフと接する機会が多い。
企業から寄せられる「賞味期限切れ近く」の大量の食糧が、あっという間になくなるのを毎週のように目の当たりにしてるんだ、こちとら。

政治家の奴ら、法人税率低くして献金貰ってパーティーしてる場合じゃねえぞ。
だからって、不倫おやじが調子こいて学生や主婦に「税金の壁を低くするから働いて~」って・・・。結局搾り取る気満々じゃん。(社会保障の130万円は手を付けないのか?結局、こいつも官僚上がり)
学生の本業は勉強、バイトしなくても済むように学費を免除するとかの方がよっぽと未来に役立つぜ。
パート主婦の問題だって、消費税廃止や「同一労働・同一賃金」推進とか(詳細は別の機会に)、検討したらよいこと沢山あるのにさ。
国民を「朝三暮四(ちょうさんぼし)」のサル扱いすな!と、腹立たしいことこの上なし。

「相対的貧困」とは、何とか食べれているけど、決して豊かではないということ。

シングルでも共働きでも、生計を維持するために必死で働いているのが現実。

つまり、大人が生活費を稼ぐのが精一杯で、家事や育児・介護にまで手が回らない。

勢い、年長の子供が弟や妹の面倒をみる、御飯作って食べさせる。

大人が収入を得ることが難しくなれば、子供も一緒に共倒れする。

だから、お兄ちゃん・お姉ちゃん手伝って・・・。

ヤングケアラーの発生は、「大人が大人本来の役割を果たすこと」が難しくなっている社会の副産物だと思う所以です。

そう、今の世の中、総力戦で当たらないとサバイブできないほど厳しいのだと。

と、ここまではウン十年前の天馬の子供時代と、今の福祉の現場で見聞きした「天馬の考える『ヤングケアラー」」像。

ブログを始めるにあたり、天馬なりに調べ始めたら出てくる出てくる。

令和には令和の「ヤングケアラー」が・・・。

つづきは「ヤングケアラーとは②」にて。

ご一読、ありがとうございました

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