ヤングケアラーとは②

多問題サバイバー天馬です。

いやー、書き始めたら止まらなくなっちゃって・・・分けました。

前ページでは、ヤングケアラーとその発生要因について思うことをダラダラと書いてみました。

でもさ、天馬が子供だったウン十年前のことと、高齢者福祉の現場で見聞きしたことが中心で。

「令和には令和」のヤングケアラーがどうなのか?

厚生労働省のアンケートから、リスタート。

厚生労働省のアンケートから〜研究調査から見えてくるもの〜

さて、昭和生まれ昭和育ちの天馬の経験則は古いかも?いや古くあってくれ!と、今のヤングケアラーの実態と即しているのか気になり色々と調べてみました。

天馬がグーグルさんに「ヤングケアラーについて教えて?」と聞いて一番に出てきたのが、厚生労働省の「ヤングケアラーの実態に関する調査研究について」

(出展:https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000767891.pdf 参照2024-11-16)

あぶねえ、あぶねえ。

喫茶店でパソコン見ながら号泣するところでしたわ。

ここでは、令和2年度の研究事業として全国の中学校、全日制高校、定時制高校、通信制高校と生徒にアンケート調査を実施。

シンプルだけど、今のヤングケアラーの実態の一端が垣間見えるのではないかと思います。

Q1.ヤングケアラーってホントにいるの?

学校側に実施したアンケートの結果では、自分の学校に実際にヤングケアラーがいるかという質問を。

中学校、全日制高校の約半数と定時制高校の7割、通信制高校の6割が「いる」と答えている現状。

学校側からみたヤングケアラーは、「家族の代わりに幼い兄弟の面倒を見ている」「障害や病気のある家族に代わり家事をしている」子供たちが多いみたい。

他の項目も「心身の障害や病気」のある家族の「身の回りの世話」「看病」等など。

天馬の予想外だったのが、「家族の通訳」。
映画「コーダ・愛の歌」、ドラマ「デフ・ヴォイス(法廷の通訳士)」を思い出しました。
聴覚障害のある方の子供達が、親のために世間との通訳をするというテーマでした。
これも大変なことだけど、このアンケートでの通訳とは「家族の障害」だけではないようです。
天馬の世代だと中国残留孤児の方たちと一緒に帰国された子供達や日系外国人2世・3世、最近では外国人労働者の方たちとそのお子さん。
大人世代の日本語習得が中々難しいなか、日本で生まれ育った2世・3世の方が世間との繋ぎをする。
こんな「通訳」もあるんですね。
うーん、切ないわ。

もとい。

学校側の支援としては、「要保護児童対策地域協議会」(始めて知ったわ!)「要保護児童対策地域協議会以外の外部機関」につなぐという手段もあるようですが、意外と「外部につながず、学内で支援する」という方法をとっている様子。

学校側でも「ヤングケアラー」を把握している、なんらかの支援をしているということでしょうかね。

Q2.誰のことをケアしているの?

この調査で「誰をケアしている?」という問いに、圧倒的に多かったのが「幼い兄弟の世話」。

次いで、「父母」「祖父母」。

幼い兄弟の世話をお兄ちゃん、お姉ちゃんがする。

これって、どこの家庭でもありそうではある。

「おにいちゃんでしょ」「おねえちゃんでしょ」と言われるのは上の子の宿命でもある。

でもさ、せいぜい一緒にゲームするとか、風呂に入るとか、宿題見てもらう?ぐらいが限度じゃないかい?と思うのだが・・・。

ここでは、「見守り」「家事」が上位を占める。

他に「身の回りの世話・保育所の送迎」というのもある。

えーっと、上の子が保育所へ弟妹を迎えに行き、親が帰ってくるまでの間にご飯を作ったり風呂に入れたりと家事と身の回りの世話をしながら子守しているということか?

うーん。

父母、祖父母の世話と答えた中身は、やはり「家事」が圧倒的。

気になるのは「感情面のサポート」も結構多い。

天馬も嫌というほど母上の愚痴を繰り返し繰り返しきかされたなあ。

世話される側の要素としては、「障害(身体・精神)」と「高齢・要介護」。

これは、これは・・・。

Q3.どのくらいの時間関わっている?

「家族なんだから、手伝い協力し合って当たり前でしょ」

そう言う人達に知ってほしい。

ヤングケアラーがどれだけの時間、ケアをしているのか。

ここでは、中学2年生、全日制高校2年生、定時制高校2年生、通信制高校の学生で家族のケアをしていると答えた人達に、1日にどれぐらいの時間ケアに携わっているか聞いているのね。

で、アンケートの答えは以下の通り。

中学2年生と全日制高校2年生は、「幼い兄弟の世話・家事」を「毎日」「3時間程」が多数を占めるのかな。

もちろん、残りの3割は父母・祖父母を「毎日」もしくは「週に3~5回」「3時間」もケアしている。

定時制高校2年生と通信制高校生は「1日3~7時間」のお世話が1位で、「7時間以上」も定時制約1割・通信制に至っては2.5割いることになる。

例えば、Q2の回答で「中学2年生・幼い兄弟の世話」をイメージしてみる。
(あくまでも「ポンコツ主婦」天馬の家事能力基準での算定。あしからず)

・保育所のお迎え→自転車もしくは徒歩でお迎え、荷物や今日の様子などを保育士から聞く、一緒に帰る・・・30分~40分
・帰宅後→家に帰り、手洗いや荷物の片づけ促し、整理整頓の見守り、おやつ食べさせる・30分
・家事→洗濯物(畳む・セット・干す諸々)、洗い物等片づけ系・・・60分
これだけで、すでに2時間ほど。
あとは、入浴とか調理とか?・・・これも小一時間かかるねえ。
中学2年生の日常ですか、これ?

大人だって1日働いて帰ってきて家事や子供の世話をするのは大変なのに。

「家族なんだからこれぐらい当たり前」っていう大人の人、よっぽど激務なんだろうねえ?

1日24時間は、誰にも平等に与えられた時間だと思うんだけどさ・・・。

Q4.やりたくてもやれないことは「ない」・・・本当?

アンケートも終盤。

ヤングケアラーと思われる子供たちの意識についての質問。

「世話をしているために、やりたいけれどできて いないことは?」

やはり、というかホンマかいな?だけど、第一位は「特にない」なのだ!

通信制高校生以外は5割越え。

「困ってないじゃん!ヤングケアラーなんて大げさな!」ととるか?

「物心ついたときからその状態だったから、気が付いてないんじゃ?」ととるか?

次に多かったのが「自分の時間がとれない」が約2割。

他の設問に「勉強時間」「睡眠」「遊び」「進路」。

ちょっと強引かもだけど、学生の本文「勉強時間」と「進路」を合わせるとこれも約2割。

睡眠も約1割。

育ち盛りに睡眠削って家事と子守。

これが、昭和初期ではなく、令和の話。

「世話をしていることを相談したことがあるか」という問いには、6割近くが「ない」と。

ない理由については、「誰かに相談するほどの悩みではない」が6割超え。

まあ、「やりたくてもやれないことが『ない』」の回答が5割を超えていることと併せて考えると、ヤングケアラーであるということの自覚がないのか、そんなものと諦念しているのか、どちらなんでしょうかね。

さらに、アンケートを読み進めるとヤングケアラーの抱える問題が見えてきます。

「相談するほどでも・・・」の次に多い回答が、「相談しても『変化がない』」。

中学生と全日制高校2年生で2割越え、通信制高校生に至っては4割越え。

その他の項目
・「家族外に相談する悩みではない」
・「家族のことのため話しにくい」
・「家族に対して偏見を持たれたくない」
これらは「身内の話だから」という大枠と考えると、併せて3割。

「誰に相談するのがよいかわからない」が1割行くか行かないかってところ。

この結果を見ると「学校や大人に助けてほしいこと、必要な支援」の質問に「ない」と答える子供たちが4割前後いるのも頷ける。

Q1~4をまとめると・・・

このアンケートから浮かび上がる「ヤングケアラーの実態」ってさ、こんな感じ?

  • ヤングケアラーがいるということについては、大人(学校)も把握している。
  • 当事者は、自分の状況について「特別」だという意識はあまりない。
  • だから、相談する必要性も感じていない。
  • でも、勉強や自分の時間が取れないこと、将来については不安がある。
  • 違和感を感じても、「身内のこと」だから「家庭の外」に相談しづらい。
  • やっぱり相談したって変わらないと思っている。

うわーん!

ここですよ、天馬が泣きそうになったのは!

天馬がヤングケアラーだった40年前と、何にも変わってないじゃないか~!!!

※ちょっと脱線。
定時制高校2年生や通信制高校生が、中学生や全日制高校2年生より「自分がヤングケアラーだと思う」という回答率が高いってところは、すごく頷ける。
このアンケートと同じく令和2年の文部科学省の統計では、高校への進学率は98%。
ほぼ、8割以上が全日制高校へ入る。
その中で、個々の事情は様々だけど、15歳で「働きながら高校に通う」「毎日学校に通う時間がないから(スクーリングはあるだろうけど)通信制高校を選ぶ」を選択する。
その事情の裏には何があるんだろう?
このお題は、深堀したらブラジルまで届きそうなので後日にしますが・・・。

定時制や通信制の学校に通って卒業するって、けっこう至難の業では?と思うのは天馬だけ?

天馬は多問題家族から離脱するため高校2年生で家出。友人宅を転々としながら通学しギリ高卒。
とにかく一人で生活していくので精一杯でした。
社会人になって周りを見回すと、大卒の同僚と能力は変わらない(若いって怖いわね、当時は本気でそう思っていた)のに、給料も待遇も違う。
あまりにも悔しくて、大卒の資格を手に入れるべく、通信制大学に入ったことがあります。
今でいう「学歴ロンダリング」やね(笑)
とにかく大学を卒業したら、自分の人生リセットできると思ったんでしょうな。
自分にとっての動機が邪道だったこともあり、一人で基礎的学問をコツコツ学び、レポート提出を守るって、天馬には無理だった。
その後、紆余曲折を経て資格取得のための夜間の専門学校に入りました。
自分の生活費と学費を稼ぎながらの3年間は綱渡りでした。
先生と学友に恵まれ、資格取得の目的があったから何とか卒業できたけど。
もちろん、目的が一緒で利害関係のない仲間たちと過ごした日々は大きな財産になったけど、何人も辞めていく学友を見送りました。
今でも「ふつうの家庭に育ち、興味のあった学問を大学で学んだり、なりたい職業に新卒で就いていたら、人生どうだったんだろうとネガティブな感情がムクムクすることもあります。
もちろん、ぶんぶんと首を振って、「人生一度きり。他の人がなかなか体験できないことをやってきたから、それもまた面白かろ」と思うようにしていますが…

とにかく、定時制や通信制の学校で学業を続けるのは大変なことで、社会にでるスタート地点から不利な状況であると思うのは天馬だけでしょうか?

それが、ヤングケアラーならなおのこと。

幼い頃から家族のために頑張ってきたのに、大人になっても普通の家庭の人より沢山頑張らなくちゃならない?

生まれついた家庭環境が厳しかっただけで、本人は何も悪くないのに…

前世で何かやらかしたか?と思わなきゃやってられないほど、不公平だわな。

世の中、こんなもん?

いやいや、投げたらあかん!と思う自分がいます。

ヤングケラーかな?と思ったら。

社会が「ヤングケアラー」について認識し始めたとわかったところで、解決策を求めるのが人間の常。

「これでばっちり!」という解決策は、まだないと思います。

だって、問題が複雑だもの。

病気や障害って、人が生きている限り発生するし。

少子高齢化が進み、ヤングケアラーどころかダブルケアラーまで発生している昨今。

貧困も、「失われた30年」の日本では早々に解決しなさそう。

税金ばっかり重くなり、政治家は裏金でおいしい思いをしてて。

(総選挙、行きました? 白票は意味なし。「こいつだけは嫌だ」で消去してでも選ぶんだ!)

でも、悲観してても毎日は過ぎていく。

だってさ、先ほどの厚生労働省の統計だけでも、中学生の17人に1人はヤングケアラー。

以前よりは「ヤングケアラー」が認識されてきているとは感じるけど、まだまだ道のりは遠い。

だから、まずは今できること。

それは、ヤングケアラーが自分の置かれている環境に気がつくこと。

案外、自分がヤングケアラーだって気がついてないこと多いです。

そのまま年を経て、ヤングが付かないケアラーになっていくことが往々にしてあります。

天馬の兄弟は、両親が死ぬまで毎日実家に通ってお世話してました。
うちの親なんて「子供はタダ」「産んで育ててやったんだから」と平気で言う奴らなのに。
後日、多問題家族からヲーターした天馬が「介護させるために産んだわけじゃないでしょ?彼ら(兄弟)を解放してあげて」と意見したら、双方から総反撃食らいました(笑)
毒親・共依存、恐るべし!

幸いなことに「自分はヤングケアラーなのかも」と気がついたなら、家庭の外に助けを求めてよいことであると思ってほしい。

そもそも、親や大人が自ら解決できないから子供達に負荷が掛かっているわけで。

ヤングケアラー自ら、外に向けて助けを求めていいんです!

もちろん、一時的に家庭内に荒波が押し寄せることが予想されるけど、何も手を打たずに大人になって「『家族愛』という仮面を被った『共依存』」で縛られ続けて、やり直しが効かない年齢になって後悔する」よっぽどまし。

早い介入が早い解決に繋がることが多いです。

そして、「私は、我が家は大丈夫」と思うあなた!

周囲にヤングケアラーじゃないか?と思う子供がいたら、手を差し伸べてほしい。

アンケートにもあったが、身内のことに介入されたくないという思いもあるし、プライドもあるから声のかけ方には配慮が必要ではあるんだけど。

もし、直接的に関わるのはちょっとしんどい、ということであれば、お住まいの地域のこども家庭センターへ匿名でもいいからお知らせしてください。

ご興味があれば、以下のパンフレットにお目通しを。

2024・11・20追記 子ども家庭庁のヤングケアラー特設サイトをご紹介します。https://kodomoshien.cfa.go.jp/young-carer/

ヤングケアラーは、大人社会の歪みから生まれた課題です。

どの子供も、オギャーとこの世に産まれたからには、健やかに幸せな人生を送る権利を持っているはず。

不幸の鎖は次の不幸に繋がっていきます。

そんな循環社会は嫌だと思うのは、私だけでしょうか。

1人でもヤングケアラーが減る、発生しない、そのためにできること続けたいと思います。

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